TECS CDL の言語仕様として定義する型には、TECS CDL の文法に予め組み込まれた組込み型と、typedef による型定義によって後から付け加えて使用する typedef 型があります。

型の分類

型の小分類

型名

値の範囲

備考

組込み型

値の範囲が明瞭な型

int8_t

-128 .. 127

8bit 有符号整数

int16_t

-32768 .. 32767

16bit 有符号整数

int32_t

-2147483648 .. 2147483647

32bit 有符号整数

int64_t

-9223372036854775808 .. 9223372036854775807

64bit 有符号整数

uint8_t

0 .. 255

8bit 無符号整数

uint16_t

0 .. 65535

16bit 無符号整数

uint32_t

0 .. 4294967295

32bit 無符号整数

uint64_t

0 .. 18446744073709551615

64bit 無符号整数

float32_t

±3.4028235E38~±1.4E-45

32bit 単精度浮動小数 (IEEE754)

double64_t

±1.7976931348623157E308~±4.9E-324

64bit 倍精度浮動小数 (IEEE754)

char_t

-128 .. 255

値としては 8bit 有符号、無符号の どちらも受けつける

値の範囲が明瞭な型

(C言語由来の型)

非推奨

char

実装依存

int

実装依存

short

実装依存

long

実装依存

float

実装依存

double

実装依存

typedef 型

t_stddef.h で 定義される型

int_t

実装依存

uint_t

実装依存

long_t

実装依存

ulong_t

実装依存

tecs.h で定義される型

short_t

実装依存

ushort_t

実装依存

組込み型

組込み型は、 TECS CDL の文法の一部として予め組み込まれた型です。 C 言語に由来しない型でも TECS CDL 記述内では typedef することなく使用できます。 しかし、C 言語のソースをコンパイルする段階では、組込み型を typedef するヘッダファイルがインクルードされている必要があります。 これは、ヘッダファイル tecs.h または t_stddef.h に記述されています。通常 import_C により、このいずれかを取り込みます。

C 言語に由来する型とは、char, short, int, long, float, double です。 このうち char, short, int, long は signed, unsigned で修飾することができます。 しかし TECS CDL で、すべての C 言語由来の型が扱えるわけではありません。 short int, long signed, unsigned など、C 言語では有効な型であっても、TECS CDL 有効な型とは限りません。

【補足説明】intN_t が組み込み型である理由は、最大値、最小値が明瞭になり、値の範囲をチェックできるためである。 intN_t を int や short などの型の typedef 型としてしまうと、最大値、最小値を tecsgen の段階では確定することができず、チェックできなくなってしまう。

typedef 型

ここに挙げた typedef 型は、TECS 仕様の一部とみなされる型です。 typedef 型は typedef により定義される型であり、ヘッダファイルを取り込んで typedef による型定義をしない限り使用することができません。

tecs.h と t_stddef.h

組込み型の C 言語での定義および、typedef 型を TECS CDL による記述で使用するために必要となる型の定義は、tecs.h に含まれます。 tecs.h は t_stddef.h をインクルードしています。 t_stddef.h は TOPPERS 新世代カーネル統合仕様に基づいて定義されるものであり、TECS で定義する型以外の型定義を含みます。

tecs.h では t_stddef.h で定義する型に加えて char_t, uchar_t, schar_t, short_t, ushort_t, int128_t, uint128_t が定義されます。

通常 TECS CDL による記述では tecs.h を直接的または間接的に import_C で取り込む必要があります。 ここで間接的にとは、import_C で取り込まれるヘッダファイルからインクルードされることであります。

【補足説明】typedef 型を TECS CDL による記述で用いないのであれば、必ずしも tecs.h を import_C で取り込む必要はないが、生成された C 言語のプログラムをコンパイルする際には、何らかの手段により tecs.h をインクルードする必要がある。 ターゲットがTOPPERS 新世代カーネル統合仕様に準拠しない環境である場合 tecs.h や t_stddef.h 以外で C 言語に由来しない組込み型や typedef 型の定義をし、それらを import_C により取り込んでもよい。